コラム

2017.11.2 木曜日

「資格」からみたフィットネス指導者の位置
(4)資格を取得することの価値をどこに見出すか?

もう一つ注意しなければならないことがあります。それは、資格認定の仕組みを決めるのは、組織の意志次第だということです。

AFAA(Aerobics and Fitness Association of America)を例に考えてみましょう。AFAAはご存知のように1983年にアメリカ・ロサンゼルスで設立されたフィットネス指導者の教育団体で、世界79か国で30万人以上のAFAA認定インストラクターが活動しているといわれています。

そのAFAAが2015年夏に、NASM(The National Academy of Sports Medicine)という組織によって買収されました。つまり、AFAAが運営・管理していたプログラムがNASMによって管轄されるようになったわけです。

当然のことながら、世界各国に広がる提携組織(日本の場合はAFAA Japan)にとっては、AFAAの買収によって、これまで続いてきたフィットネス指導者の認証や呼称・業務権限が従来通りに継続できるかどうかが危惧されました。

AFAAの創設者兼CEOであったリンダ(Linda Pfeffe)女史はAFAAプログラム担当の特別顧問としてNASMに残り、それまでのAFAAの資格は従前通りに通用すると語っていました。この買収は「発展的」なものと受け止められたようです。

 

今後もAFAAの認定資格を有する個々のフィットネス指導者にいきなり不利益が及ぶとは考えられませんが、ある日突然、仕事がなくなるというのはフィットネスの業界に限ったことではありませんので、注意が必要です。

ここで大切なのは、資格の認定基準や通用範囲、仕事の内容については、教育組織が決めるものであって、個々のフィットネス指導者は、そこで決められたルールに従わざるを得ないということなのです。

つまり、資格認証という仕組みは、それを保証する組織に従属することによって成立するのだということです。

 

さて、「資格を取れば、今までできなかったことができるようになる」と思っている方がたくさんいると思います。確かにそのとおりです。資格認定されていない人にはできない仕事が、できるようになるのが「資格」です。それは間違いありません。

資格とは、「それを取得すること自体に価値がある」のではなくて、「その資格を使って何を実現するか」というところに本当の価値が存在します。資格を取得することによって実現できる仕事があり、生かせるスキルがあり、そのスキルを生かし仕事をすることによって叶えられる何かがあるからこそ、資格が生きてくるわけですよね。

 

そこで質問です。

みなさんは、いったい何が叶えられたら嬉しいのでしょうか?

みなさんは、フィットネスの指導者として、どんな夢を叶えたいと思っているのでしょうか?