コラム
2017.10.26 木曜日「資格」からみたフィットネス指導者の位置
(3)資格の認定と登録は何を意味するか?
日本の大手フィットネスクラブの中には、養成コースを設けて教育組織としての役割を果たしているクラブや、他の教育組織の認定資格を採用条件としているクラブがあります。そして、研修や面談などによる能力認定を経て、登録あるいは契約という手続きによって、クラブ内でのフィットネス指導者の活動を許可・認可します。
したがって、当然のことではありますが、このようなフィットネスクラブで指導を行うためには、クラブの規則に従うことが前提条件となります。また、フィットネス指導業務に関してはそのクラブの管理下におかれることになります。
もちろんそれは、一般企業の社員が入社試験に合格し、新入社員研修を経て勤務することと同じです。入社後は就業規則等などのさまざまな社内規則に従うことが求められることも同様です。
つまり、フィットネス指導者の資格とは、会社や組織の管理下におかれることを前提として得られるものなのです。いいかえれば、資格を取得するために能力認定を受けることは、その会社や組織の管理下に入ることを意味しています。
ところで、健康体力づくり事業財団やNSCA(National Strength and Conditioning Association)等の民間組織は、指導者の育成と資格認定を活動の主な目的にしていますから、フィットネス指導者はフィットネスクラブのように組織との間で直接の雇用関係をもちません。したがって、資格を得ても就業規則などによって組織の管理下におかれることはありません。
しかしながら、ほとんどの場合、教育と資格認定は、その後の登録とセットになっています。定期的な研修による更新手続を必要とするところも多く、たとえば認定パーソナルトレーナーや健康運動指導士など、その資格が社会的に広く認知されていればいるほど、登録を継続する必要が生じます。資格を保持し続けようとするならば、当然、フィットネス指導者は教育組織が定める更新と登録継続に関する諸規則によって、ゆるい形での管理下におかれるということになります。