コラム

2017.12.14 木曜日

人を変える
(3)行動を変える、知識を変える

最近は、健康状態を維持・増進するためには、生活習慣を健康的に保つことが重要だという考え方が主流になってきました。そのため、フィットネスクラブでのレッスンなど特定の時間に行う運動だけではなく、運動も含めた生活行動全般を健康的なものに変えることの重要性が注目されています。これが「行動を変える」ということです。

 

それでは、お客様の行動を変えることに関して、フィットネス指導者はどのような役割を果たすことができるのでしょうか。行動を変えるのはお客様自身にほかなりません。お客様の行動が変わっていくのを見守るのがフィットネス指導者の役割となります。そのためにフィットネス指導者が行うアプローチは、お客様が生活行動を変えたくなるような知識や気づきを与える、ということになります。

 

いよいよ「知識を変える」話になります。フィットネス指導者が資格取得の過程で学んだ知識や、日頃から研鑽して身につけている最先端の知見を伝えることになります。知識といっても、マシンの操作方法や運動のやり方など単純な知識だけではありません。お客様が行動を変えるように働きかけるための知識です。

では、どのような知識を伝えたら、お客様の行動が変わるようになるのでしょうか。体重や腹囲・体脂肪などを測定し、データにもとづいて「太っていますね。痩せた方がよいですね」「食事に気をつけて、定期的に運動した方がよいですよ」と伝え、お客様が痩せた方がよい、痩せたいと思うように働きかけるのが普通のやり方です。

 

でも、そのようなことはフィットネス指導者に言われなくても、お客様は自覚しているのではないでしょうか? 体重を減らすためには食事制限か運動実践がよいという知識は、わざわざフィットネスクラブに来るお客様にとっては、当たり前のことですよね。

つまり、知識を提供するとは、“フィットネス指導者が知っていることを教える”のではなくて、“お客様が自分では気づいていないことに気づいてもらう”ということなのです。

ここではあえて、“お客様に教える”とはいいませんでした。なぜかというと、“教える”というのはフィットネス指導者の側の目線であり、お客様目線ではないからです。

フィットネス指導者にとって、お客様の知識を変えるというのは容易な作業ではありません。そのためには、“教える”というよりも“気づいてもらう”というアプローチの方が有効だということです。それが、次の意識への働きかけです。(つづく)