コラム

2017.11.16 木曜日

人を変える
(1)フィットネス指導者は何を提供するのか?

グループエクササイズにおける世界標準のライセンスであるAFAA PC(プライマリーサーティフィケーション)のマニュアル「エクササイズ ファンダメンタル」には、PCを取得するために何を学ばなければならないか、どのような知識が求められるかが示されています。「運動生理学」、「解剖学とキネオロジー」、「けがの予防と処置・安全対策」、「栄養学と身体組成」がそれらです。

また、インストラクターに求められる技術として、グループエクササイズの実施にあたってのガイドライン「ベーシック・エクササイズ スタンダード&ガイドライン」があります。これらの知識や技術を身につけているかどうかを認定するのがPCというライセンス(資格)です。

 

それでは、フィットネス指導者は自ら身につけた知識や技術を基にして、お客様に対しては何を提供するのでしょうか。言いかえれば、お客様にどのような働きかけをするのでしょうか? 身体面、知識面、行動面の三つに分けてみます。

 

まずは、身体への働きかけです。身体に接触したり、口頭で指示したりしながら、身体動作を誘導し身体状態を変容させます。テーピングやマッサージ、整体・操体が代表的です。

次に、フィットネス指導者が提供するアプローチとしてもっとも頻繁に行われるのは、知識への働きかけです。機械や器具の操作法から始まって、ストレッチや体操などの身体の動かし方、アイシングやホットパックなども含めた疲労回復の手法、食事栄養の指導など、提供するべき知識は数多くあります。

一方で、意外に気づかれないのが、行動への働きかけです。

たとえば、トレーニングマシンやフリーウエイトの操作法、あるいはストレッチングの技法などを伝えることによって、それらが「できるようになる」というのも行動への働きかけですが、お客様がフィットネスクラブに来たくなるように、あるいは生活習慣を改善するように仕向けたりすることも、行動への働きかけといえます。

昨今のフィットネスに求められる基盤理論の一つに「生活習慣の改善」があります。行動を変える・変えたいという目標や期待をもったお客様もたくさんいます。パーソナルトレーナーのベーシックなライセンスであるAFAA PFT(パーソナルフィットネストレーナー)のマニュアルにも、「ウェルネスとは」「行動変容とコミュニケーションスキル」の2章が設けられています。