コラム

2017.9.28 木曜日

インストラクター・トレーナーを取り巻く世界
(4)インストラクター教育組織の戦略

インストラクターやトレーナーの教育と資格認定に関わる教育組織の事業目標は、それぞれの組織が掲げる理念の達成です。たとえば、アメリカの代表的な教育組織であるAFAAは、「安全で効果的なフィットネスを広く普及する」という目標を掲げています。

教育組織では、指導者になろうとする者やすでに資格認定を得ている指導者から受験料や受講料を集め、指導者にとって必要な知識・技能を主要商品として提供します。指導者に対する教育プログラムを開発し提供すること、これが、教育組織の戦略となります。

教育組織の戦略は、それぞれが掲げるフィットネスの理念を拡げるために、指導者を育成して、その資格認定と質の維持向上に努める、ということに尽きるのですが、それはあくまでもインストラクターやトレーナーを顧客とするビジネスモデルであり、フィットネスのクライアント(お客さま)が直接の顧客になることはありません。

もちろん、一般の人びとに知識や技術を伝えることで、より豊かなフィットネスライフを満喫できるように手助けする、というビジネスモデルも想定できるのですが、多くの教育組織では指導者育成を主眼にしているのが現状のようです。

その状況の下では、先に述べたような、クライアントがフィットネスサービスを「消費しない」という戦略を選んだ時、つまり、フィットネスの商品プログラムが自分に合っていないと感じたクライアントがフィットネスの世界から去って行く場面では、教育組織はクライアントに直接に働きかけることもありません。クライアントの「消費しない」という戦略に対しては、教育組織は無力です。

 

次回はいよいよ、インストラクターやトレーナーの戦略について考えてみたいと思います。