コラム

2019.1.29 火曜日

ヘルスプロモーションへの挑戦14 ウォーキング学会

「事務局を引き受けて欲しい。」

 

2000年5月。それは、突然にやってきた。

 

日本ウォーキング学会の学会に初めて参加したのはその前年(1999年)の第3回大会からで、私はまだ“新参者”の部類の一人だった。そんな私に、学会の事務局を任せたいというのである。

 

日本ウォーキング学会が発足したのは1997年のことであるが、その源流は、さらに5年前の1992年に発足した“ウォーキング研究会”に遡ることができる。この研究会は、当時日本ウォーキング協会副会長であった江橋慎四郎先生(東京大学名誉教授)が音頭をとって始まった会で、毎年11月に開催される日本スリーデーマーチに合わせて研究発表会を行うほかに、講演会や共同研究プロジェクトを実施するなど、多彩な活動が行われていた。

 

その5年間にわたる活動の成果は、「ウォーキング研究」と題する2冊の成書として出版されているが、1997年にはその研究会を発展させる形で“学会”が設立されたのである。初代会長は宮下充正先生(当時東京大学教授)であり、その事務局は江橋・宮下両先生の弟子に当たる海老原修先生(横浜国立大学教授)が“研究会時代から引き続いて受け持った。

 

学会とはいっても、発足時は会員組織とはせずに、年に一度の学会大会の開催とその成果の刊行という事務業務を事務局が所管するだけで、海老原先生に言わせると、「会長と私(事務局)だけでやっている学会」なのであった。それが、前年(1999年)から会員制を取るようになり、事務局の負担も大きくなっていたようだった。

 

海老原先生は、私の大学院時代の研究室の先輩であり、「ようやく手ごろな手下が入ってきた」という目で、私を見ていたようだ。「スキ男ちゃん(私は海老原先生からそのように呼ばれていた)の好きにしていいよ」とはいうものの、まだウォーキング研究を始めたばかりの)私のような“新規参入者”をいきなり事務局長にしようというのだから、乱暴な話である。

 

ともあれ、2001年4月からの学会事務局と同年(第5回)の学会大会とを、私が引き受けることとなった。