コラム
2018.1.11 木曜日太極舞―長林みどりさんに聞く
長林みどり(ながばやし みどり)
太極舞・フィットネスタイチープログラムマスター、AFAA/JWI指導陣
―太極舞とは、どのようなプログラムですか?
長林 太極舞は、台湾TWIのウィノ(簡冠中)とイーリン(林奕伶)という二人のプレゼンターが中国の趣にあふれる音楽に振り付けたダンスプログラムです。太極拳・気功法・功夫・詠春拳・敦煌舞・中国武術を融合させてアレンジし、誰にでも楽しめる楽しいダンスに創作しています。
日本で展開を始めたのは2010年、台湾の二人からスキルを学びながら、日本でも三作目からプログラムマスターチームによる新しいヴァージョンを創作しています。台湾・日本と交互に一年に一作ずつの新作を発表し、2018年の今年は8作目の日本ヴァリエーションをご披露します。中国の伝統文化や雄大な自然が浮かんでくるような彩り豊かな曲に合わせて踊りを構成するので、曲線的な柔らかい動きが音楽に心地よくマッチし、太極舞ならではの優美さを感じることができます。
太極舞は「陰陽五行」の考えに基づき、「金・水・木・火・土」という5つの元素に基づいた5曲をそれぞれの原則に沿って踊り、「陰陽帰依」のパートで呼吸を元に戻すクールダウンを行います。それぞれのパートには目的があって、「金」は呼吸ウォームアップで小さな動きから大きな動きで身体を温める、「水」は低い強度での心肺ウォームアップからトレーニング、「木」は筋力トレーニングでバランス力を強化、転倒予防にもなる脚力や体幹トレーニング、「火」はアップテンポでアクティブなカーディオトレーニング、「土」は徐々に強度を落としクールダウン、そして「陰陽帰依」でさらに呼吸をゆっくり整えていきます。
―太極舞の魅力、どのようなところにありますか?
長林 動作がゆっくりとしているので、慌てることなくじっくりとマイペースで踊ることができて「追いていかれた感」がなく楽しめます。どんな方でも気軽に取り組むことができ、高齢者の方々にもお勧めしています。ZUMBA®の愛好者にも太極舞を楽しんでくださる方が増えているんですよ。各種の音楽やリズムに合わせたダンスとしての魅力、夢中になれる楽しさに共通点があると思います。
太極舞には、終わった後の解放感だけでなく、心の中に残る充足感があるんですね。身体はもちろん、心も洗われるような爽快感が魅力です。気血やリンパの流れを促しますから、手足もぽかぽかして気が巡る喜びがあふれ、気や精神が養われて自然治癒力や免疫力も高めるんです。年齢を問わず多くの方々に是非参加していただきたいハッピーエクササイズです。
―太極舞のインストラクターになるためにはどうしたらいいですか? また、インストラクターとしてどのようなことに注意していますか?
長林 まず理論と実践を網羅するイントロダクションセミナーを受講した上、それぞれのヴァリエーションクラスを受講していただきます。
太極舞では動きの本質的なところ、たとえば太極拳の型にあまりにもこだわりすぎると、インストラクターの方が提供する時のハードルがとても高くなってしまいます。あくまでもいままで勉強してきたエアロビクスの理論と実践、あるいはさまざまなダンスプログラムの楽しみ方を活かしてもらえるよう、基本を押さえながらも動きをなるべくシンプルにしています。
インストラクターによって、太極拳、功夫、クラシックバレエ、ヨガなど、経験や得意分野が違いますよね。それぞれの持ち味を生かしつつ、曲に合わせてのびのびとおおらかに動けるように導いてもらうことを期待しています。DVDを確認しながら踊り込むなど、誰もが楽しんで指導していただけるよう工夫しています。
さまざまなコリオを発信していますが、「曲の良さを生かすこと」が参加者の心地よさやモチベーションにつながるので、動作と曲がぴったりとフィットしてワクワクドキドキするような躍動感を大事に、お伝えしていただけたらと思います。特に高齢者の皆様に相応しい運動として、安全を考慮しつつ十人十色の変換を加えながら、心と身体をイキイキと整えることを目標にしていきたいものです。
―最後に、まだ太極舞を経験したことのない方に向けて、メッセージをお願いします。
長林 「ダンスは苦手」というシニアの方々の受け皿的な役割を担える、懐の深いプログラムです。もちろん、老若男女誰もが無理なく楽しむことができる太極舞。靴もいらない、裸足でのびのび、間違えてもいいんです、おおらかに無心で音楽や振り付けを楽しんでいただきたいと思います。