コラム
2017.10.3 火曜日Dr.カイボーの眼
第12回 ポイントを貯めて健康増進
佐賀県武雄市では、平成28年度から30年度までの3か年事業として「武雄市健康ポイント事業」をスタートしています。全国の市町でも同じような取り組みが実施されていますので、みなさんのところでも行われているかもしれません。ひとりでも多くの住民がこの事業に参加して健康増進に努め、そしてそのことで自分らしい人生を過ごしてほしいとの願いがあります。
さて、武雄市の事業内容を説明します。参加対象者は20歳以上で武雄市民か武雄市内に勤めている人。いつでも申し込みはできるのですが、第1クール(4月~9月)と第2クール(10月~3月)に分けて、それぞれで500pt(ポイント)以上(ポイントの繰り越しは不可)で次のいずれかの商品と交換できます。①QUOカード(500円券)、②図書カード(500円)、③楼門朝市(武雄で毎週日曜日に開催している朝市)商品券(1000円)。ダブルチャンス賞として、ポイント交換した人の中から抽選で30名に、ちょっと豪華な賞品があります。
ポイントの種類は5つ。①健診ポイント(100pt)。特定健診やがん検診、わっかもん健診、職場健診、人間ドッグなどを受診。上限は100pt。②イベントポイント(100pt)。市のイベントや地域の行事、スポーツ大会やお祭りなどへ自主的に参加、2つ以上の参加で上限は100pt。③チャレンジポイント(3pt/日)。自分で毎日取り組む「チャレンジ目標」を決めて実践。
目標は複数設定できますが、ポイントは1日3ptが上限。④ウォーキングポイント(2pt/日加算)。「チャレンジ目標」にウォーキング(ジョギング、スロージョギング含む)を設定実践した日は1日2ptを加算。⑤ボーナスポイント(100pt)。子どもや家族と一緒にイベントに参加すると50pt。早起きして楼門朝市へ出かけると10pt。上限は100pt。
今年度の第1クールの参加者は1150名ほどだそうです。昨年「健康日本21」の分科会に参加した時に講師の方がおっしゃったのですが、「国民にたくさんの健康情報を流しても7割はスルーです。健康に関心のある3割のひとにしか届かず、本当に届けたい7割の人は健康や運動には全く興味がないのです。」この言葉を基に考察してみましょう。
武雄市の人口は5万人弱です。武雄市の場合全人口の78%ほどが20歳以上で、そのうちの健康に関心のある人が3割とすると1万1000人ほど。この数字と実際の参加者の数を比較すると、参加の可能性のある方のまだ1割強の人しか参加されていないということになります。福祉部健康課を筆頭に、市役所の方々には広報など一生懸命に頑張っていただいているのですが、参加者が多いとはまだ言えないですね。私も努力しないといけません。
内容を見ると500pt取るのにハードルは高くないし、達成者は必ず商品をもらえるので参加者はもっと多くても良さそうですが、なかなかそうはならない難しさがあります。また、健康や運動に関心のない7割の人(武雄市の場合2万6000人ほど)をどうやって健康増進させる方向にもっていくか。考え方のひとつとして、「スマートウエルネスシティ構想」という考え方があります。その町に住んで生活していれば健康になるという町づくりです。そのことについてはまたいずれ述べましょう。