コラム

2018.4.18 水曜日

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AFAA STEP(ステップ)エクササイズ―稲石康子さんに聞く

 

 

 

 

 

稲石康子

AFAA/JWI指導陣。AFAA/JWI各ワークショップ、大手スポーツクラブ、専門学校等で後進の育成を目指して講習、研修を担当している。

 

―ステップエクササイズとは、どのようなプログラムですか?

 

 

 

 

 

 

稲石 音楽に合わせてステップ台を昇り降りするエクササイズです。単なる昇降にとどまらず、ニーアップ、レッグカール、サイドリフト、ヒップエクステンションなど、下半身をまんべんなく使い、さらに上半身の動きを組み合わせることでバランス良くエクササイズすることができます。また、足腰の強化や片足で立つなどバランス感覚を養う機能的なトレーニングにもなりますし、さらに有酸素運動の効果も期待できます。

ステップエクササイズは1980年代後半にアメリカのジン・ミラーさんが考案したプログラムです。膝のケガのリハビリテーションから始まったのですが、効果が得られたのでフィットネスのプログラムとして体系化するために、彼女が属していたリーボック・ユニバーシティで運動生理学や解剖学の専門研究者と共にプログラムの研究開発を重ね、ステップ・リーボックとしてフィットネス業界に発表しました。日本ではAFAA JAPANがリーボックと提携するという形で始まりました。

当時のフィットネス業界ではエアロビクスが一大ブームとなっていて、ハイインパクトなグループエクササイズが主流となっていました。ジャンプやジョギングなど足への衝撃度が高いため、ケガなどの安全性の面で問題視されるようになっていた時に登場したのが、膝や足への衝撃が低く運動量の高いステップエクササイズでした。

 

―ステップ台を使うことが他のプログラムとは違う点ですね。

 

 

 

 

 

 

稲石 はい。ステップ台を使うことによって、フロア上とは違う動きが生まれます。たとえば、昇り降りする時の運動強度はジョギングをしている時と同じくらい。一方で、衝撃度は歩いている時とほぼ同じで、運動強度が高くても衝撃度が低いのがステップエクササイズの大きな特徴です。

シンプルな動きでも、バリエーションの多いステップを組み合わせることによって楽しみも生まれますし、達成感が感じられ、モチベーションも上がります。また、自分の体重を負荷にして高さのある台に昇ることで、自然に股関節や膝関節を使い、屈曲伸展角度(いわゆる可動域)も大きくなり、関わる筋肉がたくさん使われ、その結果、消費カロリーも増えます。

 

―AFAAステップエクササイズのインストラクターになるにはどうしたらよいでしょうか。また、インストラクターとして気を付けるべきことはどんなことですか?

 

 

 

 

 

 

稲石 最初にAFAA STEP6時間セミナーや2日間セミナーでステップを指導するにあたっての基本的な知識と技術を習得し、さらに効果的なステップの組み立て方など、洗練されたステップ指導のためのスキルを学習していただきます。その後、検定対策セミナーと検定を受けていただき、合格することによってAFAA STEP認定インストラクターとなることができます。

現在、日本のフィットネス界では以前のステップエクササイズブームの頃と比べて、残念ながら需要が高まっているとは言い切れません。当初は安全で効果的なシンプルな昇降として始まったステップが、難易度が優先されるようになり、また業界内でも講習会など勉強する場が圧倒的に少なくなってしまっているのが現状です。

このためインストラクターも、当時は講習を受けてからレッスンを担当していましたが、今では様々な事情によってクラブ側から「エアロビクス指導ができるからステップ指導も」と依頼されるケースもあり、その結果、ステップ本来の理論を知らないまま教えている方もいるようです。

まず、ステップエクササイズの安全性や効果性を知るために基本の理論を最初にしっかりと学んでいただきたいと思います。AFAAステップには音楽のスピードに頼ることなく難度や強度を上げるためにBPM(1分間の拍数)118~128のゆっくりしたスピードを推奨し、また前降りは推奨しないなどの特徴がありますが、セミナーを受講することによって、初めてその理由が分かり、ステップエクササイズの魅力に気づくことができます。

さらに、セミナーではキューイングやトランジッションテクニックなども学びますので、指導力も身につきます。また、道具を使うエクササイズなので、お客様が失敗をして怖がったり自信を失ったりしないように、特性を理解し安全性を優先して、さらにそこに個々の特徴を活かした楽しさや効果を兼ね備えた、きちんとしたフィットネスプログラムとして提供していって欲しいと思います。

 

―最後に、AFAAステップエクササイズの魅力について、メッセージをお願いします。

 

 

 

 

 

稲石 私もエアロビクスインストラクターを目指し養成コースに通っていた頃は、ハイインパクトが主流で衝撃の高い動きばかりしていたので、シンスプリントになり疲労骨折寸前までいったことがあります。その後、インストラクターとしてのキャリアをスタートしてからステップに出会い、学び、安全で効果的なクラスを続けてきたおかげで、その後一度もけがをしたことがなく、むしろ身体を機能的に使えるようになりました。若い頃より!?調子が良いです。

ステップとの出会いがなければ、インストラクターとしてこれほど健康的にフィットネスを続けることはできなかったと思っています。運動としての効果や、コリオグラフィーとしての楽しみ方、筋力・柔軟トレーニングでの補助としても活用できる…これらをすべて網羅しているのがAFAA ステップです。是非、一緒に学び、より多くの人々を健康に導けるように伝えていきましょう!!