コラム
2018.2.13 火曜日Dr.カイボーの眼
第23回 呼吸の瞑想
今から1分間、「何もしない、何も考えない」と決めて、呼吸にだけ意識を向けてみましょう。
どうですか? できましたか? 何もしないということはできても、何も考えないというのは難しいでしょう。このことから、思考というのは自分の意思とは関係なしに沸き上がってくるものだということがわかりますね。「何も考えない」と決めているのに勝手に考えてしまう。
そして日常では、その勝手に湧き上がってきた思いを自分自身の思いだと勘違いして、その思いに取りつかれたように行動してしまっている、という事実に気づきを持ちましょう。特に気をつけたいのは、心の思い込みによる感情表現です。その中でも瞬間的にムッとしたりイラッとする怒りの感情、そして、すぐにあきらめたり怖がったりする感情に対するコントロールは重要です。
脳の中のネットワーク(回路)というのは、その人独自のクセがあって、それが思考パターンとして日常生活にも反映されます。このクセはなかなか修正できるものではありません。しかし「何もしない、何も考えない」と決めて、呼吸にだけ意識を向けた瞑想をすることによって、瞬間的に沸き上がる感情は自分本来のものではないのだと気づくことができます。
そして、より自分らしい別の思考回路を使う、あるいは新しく創って使う習慣をつけることで、より自分本来に近い心のあり様に自分を変えていくことができます。