コラム

2018.1.30 火曜日

Dr.カイボーの眼
第22回 10分の瞑想は40分の睡眠に相当する

瞑想することを勧めると「瞑想はしないけれどボーっとはよくしていますよ」という答えが返ってくる時があります。

 

でも実は、ボーっとしている時、脳は休んでいません。むしろ、あれやこれやとたくさんのことが思い出されては消えるということを繰り返していて、たくさん働いています。突き詰めて考えていないというだけです。これをデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼びます。脳がエンジンを停止せずアイドリングしている状態なんです。脳で使われるエネルギー全体の60~80%はDMNによるものだそうです。

 

ひとつのことに集中するときに使われるエネルギーはたったの5%。集中している時はそれ以外の脳の部分はお休みしています。好きなことを集中してやったらスッキリしたという経験はありませんか。編み物好きな患者さんで編み物をするとストレス解消になるとおっしゃる方がいらっしゃいますが、まさにそのことなんです。

 

では、脳にとって最も省エネになる、つまり可能な限り多くの領域がお休みできる、ひとつのことに集中する方法は何でしょうか?

 

答えは、呼吸です。私たちは生きている限り、呼吸をしています。何に集中するときも呼吸はセットになりますね。であれば呼吸にだけ集中して、他は何もしない。これが最も脳を休ませることになるのです。

 

寝ている時に私たちが夢を見るのはREM睡眠時です。θ波という脳波はその時にだけ出ると考えられていました。θ波は、海馬が活発に活動して記憶の整理をしている現象を表しています。ところが、呼吸にだけ意識を集中している瞑想の時にもθ波が出るということがわかりました。

 

呼吸に意識を集中した瞑想をしているとき、脳は夢を見ている時と同じような状況になっているのです。しかも、10分間の瞑想は40分間の睡眠に相当する効果があると言われています。少しの時間があれば呼吸の瞑想をすることをお勧めします。