コラム

2017.12.12 火曜日

Dr.カイボーの眼
呼吸と瞑想 (3)体と心をつなぐ

体の調子が悪いと呼吸は乱れます。精神的に調子が悪いときも呼吸は乱れます。どちらも自律神経の調子が乱れ、エネルギーの流れが悪くなるためです。

 

インド思想にパンチャコーシャ(人間五臓説)というのがあり、人間は5つの鞘(蔵)から出来ていると説明しています。一番外側に食物鞘(これが肉体)、その内に順に生気鞘(呼吸やエネルギー)、意思鞘(五感や運動器官)、理知鞘(知性)そしてもっとも内側に歓喜鞘(本来の自分)があると。

 

私たちが体験する現象、そしてパンチャコーシャの考え方の両者から見ても、呼吸は肉体と精神をつなぐものだということがイメージできます。

 

体と心をつなぐ呼吸を意識しましょう。あなたのお気に入りの場所に行き、そこに座り、姿勢を正し、そして常に呼吸に意識を向けます。気をつけて息を吸い、気をつけて息を吐きます。

 

まずは、体に意識を向けて。息を長く吸っている時に「息を長く吸う」ことを知り、息を長く吐いている時に「息を長く吐く」ことを知ります。息を短く吸っている時に「息を短く吸う」と知り、息を短く吐くときに「息を短く吐く」ことを知ります。そして、全身を感じながら息を吸い、全身を感じながら息を吐きます。さらに、全身を静めながら息を吸い、全身を静めながら息を吐きます。

 

次に、感情に意識を向けて。喜びを感じながら息を吸い、喜びを感じながら息を吐きます。この際の喜びは一般的な喜びとは違います。静かで澄み切った呼吸によって感じられる喜びです。そして楽を感じながら息を吸い、楽を感じながら息を吐きます。このときの楽とは静寂で安らかな深い状態にあることを言います。そして、心のプロセスを感じながら息を吸い、心のプロセスを感じながら息を吐きます。

 

この心のプロセスを感じる、その先は本当の瞑想の世界に入っていきます。特に「私」とか「私のもの」という感じ方に対する理解が深まることで、自分がどのように心を働かせているのかを知ります。そしてその「私」あるいは「私のもの」という心のプロセスを、呼吸により静めていきます。

 

そこから先は文章にすることは可能ですが、むしろ実践して感じていく世界です。そこまでに行きつくにも時間がかかります。