コラム

2017.11.14 火曜日

Dr.カイボーの眼
呼吸と瞑想 (1)あるがままの呼吸を受け入れる

私はインストラクターとしての通常レッスンの他に、瞑想家の峯三保さんとペアで、武雄市のJOYNTや佐賀県内や福岡市のエリアで月に1回から2回、多い時は4回ほどのペースで「呼吸を使った瞑想」のワークショップや講演、イベントなどを行っています。

 

生きている人は誰もがしている呼吸ですが、無意識の呼吸を意識化するだけで、あなたに大なり小なりの変化が起きます。そして、続けていけばその変化はさらに大きくなっていきます。そうは言っても、何も考えないと決めて呼吸だけを意識しようとしても、無意識のうちに様々な思いが浮かんできますよね。呼吸のことだけに意識を集中し続けることはすぐに出来るものではありません。その練習を通してあなた自身のこと、そしてあなたと周囲との関係性の理解を深めていくことになるのですが、その間にいくつかのステップを踏まなければなりません。

 

105歳まで現役の医師として生涯を全うされた日野原重明先生は、亡くなる前の最後のインタビューで「たくさんの人との出会いが嬉しい。そして本当の自分との出会いは本当の悦び」とおっしゃっていました。「本当の自分」とは何でしょうか。それは自分の中にあり、日常生活では見てみぬふりをしている、あるいは無いものとして無視している、そのような感情と真正面から向き合った時に姿を現すものだと私は理解しています。日野原先生も「死ぬことを考えておろおろするときに本当の自分に出会う。苦しみの中に本当の悦びを見つけた」とおっしゃっています。

 

まずは難しく考えずに、今あなたがしている、あるがままの呼吸を感じてみましょう。あなたが無意識にしているその呼吸を、何一つコントロールすることなく、そのままで意識してみましょう。ひとは無意識を意識した途端に、ついついコントロールしようとするものです。コントロールしてしまうということは、常々、自分のことや環境をあるがままに完全に受け入れることをしていないということです。あなたがあなた自身を受け入れるために、まずはあなたがしているあるがままの呼吸を受け入れることから練習を始めるのです。

 

息を吸っている。息を吐いている。その時の空気がどのようにあなたの体内を出入りしているかを感じます。呼吸をしている時の胸郭の動き、お腹の動きを感じます。吐く息、吸う息の長さを感じます。感じるだけでコントロールはしません。集中するとコントロールしたくなりますが、あるがままのあなたの呼吸を感じます。息が詰まるようで、上手な呼吸が出来ていないように感じるかもしれません。それがあなたの今の呼吸です。受け入れましょう。