コラム
2017.9.26 火曜日Dr.カイボーの眼
第11回 「健康寿命をのばそう!武雄市民宣言」
佐賀県武雄市健康づくり推進協議会のことをお話ししようと思います。この協議会は、武雄市の健康づくり対策を総合的に審議検討し、住民の疾病予防、がん予防、健康増進及び献血推進を図るために設置されています。委員構成は医師会、歯科医師会、薬剤師会、保健福祉事務所、区長会、婦人連絡協議会、老人クラブ連合会、農業協同組合、商工会議所、食生活改善推進協議会、母子保健推進協議会、教育委員会、その他、と横断的に幅広く集められています。
これだけのメンバーを集めて「健康づくり推進協議会」としていることからは、武雄市としての本気度が伝わります。私はこの協議会の会長を務めていますので、責任は重大です。これまでに取り組んだことは、特定健診やがん検診受診率アップのための取り組み、「健康寿命をのばそう宣言」およびそれに伴う健康ポイント事業などです。今回は2015年10月18日に出された「健康寿命をのばそう!武雄市民宣言」について説明しましょう。
「健康寿命をのばそう!武雄市民宣言
私(たち)の願いは、生涯にわたり健康で生き生きと幸せに暮らすことです。一人ひとりがより良い生活習慣を身につけて、自分にあった健康づくりを進めていきます。「自分の健康は自分でつくり守る」ことを基本として、共に支え合いながら健康寿命の延伸を目指します。
1. 私(たち)は、笑ってしゃべって生きがいづくりに努め、心も体も元気に暮らします。
2. 私(たち)は、豊かな自然の恵みと食に感謝して、歯と口の健康づくりと、バランスの良い食事に心がけ、歩いてさるいて運動します。
3. 私(たち)は、自分のため、家族のため健診を受けて健康管理に努めます。」
宣言文の要旨:「生きがい」「休養」「相談」「運動」「歩く」「食(栄養)」「健診」をキーワードに取り組みます。
1.について:お酒はほどほどに適量を、たばこは禁煙に努めエチケットを守ります。ストレスを貯めずに休養し、こころや身体が疲れたら早めに相談をします。生涯現役で活き活きした生活を送り、家族や地域で支え合い、居場所の確保に努めます。
2.について:毎日の生活の中で身体を動かすことに積極的に取り組み、無理せず出来る「歩く」ことからはじめ、生活の質の向上のために運動の習慣化に努めます。また、郷土の旬の食材でバランスの良い食事を感謝しながらいただき、生涯自分の歯で食事を楽しめるよう定期的に健診を受けることに努めます。
3.について:病気の早期発見、早期治療につなげるため、働く世代のわっかもん健診(20代、30代)、特定健診、がん検診を積極的に受診します。また、身体の変化を知ることで生活習慣病予防のために生活習慣の改善に取り組み重症化予防に努めます。
当初、協議会では健康寿命延伸のための優先順位として、お口の健康も含めた身体づくり、そして健診受診率向上を考えていましたが、小松武雄市長が「生きがいづくり」をトップにしてほしいと強く言われたことで今の順番になりました。まだフレイルという言葉が一般的に言われる前のことです。後にフレイルドミノ(第8回のコラムで述べています)でいうフレイルの始まりは、社会とのつながりの低下、つまりは「生きがい」がなくなることからだ、ということを知り、この順番で正しかったと安堵したとともに、市長の確かな目に感心したものでした。
結果として、大変素晴らしい宣言文になりました。あとは実際に健康寿命が伸びるように、この宣言文通りの生活が出来るかにかかっています。次回はその取り組みについて書いてみます。