コラム
2019.3.7 木曜日僕を救い、成長させてくれたZUMBA🄬―小林研太郎さんに聞く(下)
小林 僕はZUMBA🄬インストラクターとして前に立つべき人間なのかと思い始めて、その悩みをレベル1の時の講師だったZES™️の和田野さんに相談してみたんです。そうしたら和田野さんは一言、「PCを取るしかないよ!」と。PCの養成をしている場所を調べたら、一番近場では尾道にあることがわかりすぐに電話して、レギュラーレッスンの合間に毎週尾道まで通ってPCを取りました。
PCの勉強を始めたらもっと知りたいと思うようになって、ZES™️の古川さんにも相談したら「取れるもんは全部取っちゃえ!」って(笑)。でFDEC、RT、PFT、STEPと立て続けに取りました。
中村 そのような小林さんが2013年にはZumba®️ Jammerのオーディションに応募され合格しました。
小林 PCを取得した後、自分が成長していると実感し始めた頃でしたね。自分は全国的に見てどのくらいスキルがあって、どのくらいのレベルのことをやっているのか気になり始めた時でした。一言でいうと、フィードバックが欲しかったんです。Zumba®️ Jammerのオーディションのことは知っていて、応募資格はあるけれども自分はまだそういう時期ではない、もっと勉強することがたくさんあるから・・・と応募するつもりはなかったんです。
応募の締め切り3日ぐらい前になって、ZUMBA®︎のワークショップ会場の手配をしてくださったのがご縁で知り合ったAFAAコンサルタントの貝谷先生から電話があって、「Zumba®️ Jammer応募した?」と聞かれました。「今はその時期ではないし、もっと僕自身成長してからでないと。今はどちらかというとフィードバックが欲しいんです」と言ったんです。そうしたら「フィードバックも来るよ、応募したら?」と言われました。「え、じゃあ応募します!」と言って、急きょ次の日にスタジオを借りて人を集めて、ビデオカメラを借りて撮影して送ったんです。締め切りギリギリで送りました(笑)。
中村 時間をかけてオーディションの準備をしたのではなくて、素顔のままの小林さんで臨まれたのですね(笑)。それで?
小林 確か7月27日が公開オーディションでその日のうちに結果が出て、次の日からトレーニングが始まりました。Zumba®️ Jammerとしてデビューしたのは翌年の1月です。週末にZumba®️ Jammerの業務が入ることが多いので土日のクラスを全部なくし、週28本のレッスン全部を組み直しました。
でも、土日のレッスンを辞めたので、Zumba®️ Jammerの業務が入っていない時には自分の時間がもてるようになり、当時9人いたZES™️全員のワークショップを受講しに行きました。実は今でも定期的にZUMBA®︎のワークショップを受講しています。私はZIN™️メンバーでもあり週19本のレギュラークラスをもっているZUMBA®︎インストラクターです。もっとたくさん勉強して、もっとスキルアップして、これからもずっと成長し続けていきたいです。
中村 2014年1月からZumba®️ Jammerの活動を始めて、他に何か変わったことはありましたか?
小林 影響力の大きさに戸惑いました。僕が話す一言一言に重みが増していることに気づいたんです。例えば、SNSで自分の考えや意見が今までとは違ってはるかに影響力を与える。もしかしたら知らず知らずのうちに人を傷つけてしまったかもしれないなと。以前は「自分はこう思う」「こう考える」とズバズバ言っていたんですが、それを全くしなくなりました。
また、以前とは逆に質問される立場になりましたが、安易に自分の考えで答えずに、たとえば「ZES™️の〇〇のところに行ったらこういうことを教えてくれるよ」と答えるようになりました。
実は、「Zumba®️ Jammerの役割って何だろう?」と悩んだ時期があるんですよ。ZES™️はZIN™️メンバーの教育担当としてZIN™️メンバーを増やす役割があるけれど、Zumba®️ Jammerの業務内容はJAM™️セッションでコリオを伝えること。レッスンをもっていないZIN™️メンバーにJAM™️セッションをしてその人のプラスになるのか、Zumba®️ Jammerの役割っていったい何?と。
JWIの磯崎さんを通して、当時全世界のZumba®️ Jammer を統括する立場だったZUMBA🄬オフィスのルーシアに確認してもらったんです。返ってきた答えは「Zumba®️ Jammer の役割は、ZIN™️メンバーがどうしたらいいのか迷った時に道筋を立てて背中を押してあげることだよ」と。半分は納得したけれども、半分はまだ理解ができないでいたんです。
中村 その悩みは解決しましたか?
小林 はい。一昨年、オランダのZumba®️ JammerでZumba®️ JammerコーチでもあるJeffreyが来日した時に、岡山にも来てくれたことがあるんですね。3本のセッションの中にキューイングとプログレッションのセッションがありました。Jeffreyは始める前に参加者を集めて「この中でレッスンをもっていない人は?」と手を上げさせたら、かなりの人がいたのですが、その時にジェフリーが放った言葉が僕を救ってくれたんですよ。
「君たち、今日はラッキーだよ!今日はインストラクターになった気分をたくさん味わえるから、そのバーチャル体験を思う存分楽しんでね!そして、もし自分にもできるかもしれない、やってみたいと少しでも思ったら、その気持ちを大切にして目標として頑張ってね!」と。それを聞いた時に、オフィスのルーシアの回答が蘇ったんですよ。そういうことか!って、やっと理解できたんです。こういう感覚で自分もJAM™️セッションをすればいいんだと。
レッスンをもっている人はもちろんそこで勉強になるし、レッスンをもっていない人はインストラクターになったバーチャル体験を楽しめる。もし僕もやってみたいと少しでも思ったらそれを目標にして頑張ってねと。これが背中を押すことなんだって。
中村 Zumba®️ JammerはZIN™️メンバーの人たちに「インストラクターとして人を動かせるのはこんなにも楽しいよ」と伝えるんですね。
小林 カリエンテの会場で、JAM™️セッションに来ていたZIN™️メンバーの方がリードを取っている姿を見るとすごく嬉しいです。1レッスンは無理かもしれないけれど、1曲だけだったらみんな動いてくれた、次は…という気持ちになって欲しいと思いました。そしてデビューしようか迷ったら、またJAM™️セッションに戻ってきて、というのが理想的ですね。
中村 今後もZumba®️ Jammerとしての仕事を続けていくうえで、大切にしたいと思っていることは何ですか?
小林 5年を費やしてやっと、本当にやっと自分でも納得のいく、各国のZumba®️ Jammerとも肩を並べられるセッションができるようになりました。今は本当にZumba®️ Jammerの業務にやりがいを感じています。自信をもって活動の場を広げたいし、常に自分が成長できる場所、自分を試せる場所を探したいと思います。
僕はZUMBA🄬というプログラムに対してすごく感謝しています。僕の人生を救ってくれて、自分自身の成長や人との出会いも与えてくれた。そんなZUMBA🄬にZIN™️メンバーの方々を通じて恩返しをしていきたいと思っています。
新しいZumba®️ Jammerの比嘉さん、ジョセフさんの二人にも感謝しています。日本でZumba®️ Jammerがスタートした時には他の3人(栗木さん、上間さん、小原さん)のキャリアやスキルがすごかったので、僕はとにかくついていくのに必死だったんです。他の3人にはできて僕一人だけできなかったことが多かったですね(笑)。でも、3人からいろいろなことを吸収できたことがすごく大きかったです。
ただ、そんな3人に甘えていたのも事実です。特にさっちゃん(栗木さん)には何から何まで聞いていましたね。さっちゃんの行動を見てそれについて行くだけみたいな。だからすごく楽でした(笑)。それが僕1人になって後輩が2人できて、もっとしっかりしなければいけないなと思ったら・・・急にしっかりできました(笑)。
中村 最後に、ZIN™️メンバーの皆さん、ZUMBA🄬愛好者の皆さんにメッセージをお願いします。
小林 好きなことができて、それが仕事になってお金がもらえる、これだけやりがいをもってできる仕事は他にはないと思います。ただ、僕を見て「簡単に脱サラしてインストラクターになれるのか」と思う人も多いと思いますが、道は険しいです。最初の入り口はすっと入れても、やる気をもって専門的な知識をきちんと身につけ、ちゃんとした目標をもって進んでいかないとこの業界、本当に厳しいと僕自身、実感しました。
日本には11人のZES™️がいます。みんなそれぞれ個性があり特長があります。だから全員のワークショップに参加してください。そして全員の技を盗んでください。そしてそれを自分の色にしてください。必ず成功します。
中村 奥村さん、一言お願いします。
奥村 Zumba®️ Jammerオーディションでは最終候補者が20人いて、ZUMBA🄬オフィスの人とアメリカのZumba®️ Jammerコーチがチェックしていたのですが、小林さんの時は「彼はジャパニーズBetoだ!」と熱く語られていたのをよく覚えています。確かにその時の小林さんが作ったクラスの雰囲気やお客さんの反応は素人から見ても全然違っていました。
小林さんはとにかく才能があってここまで来たと思っていましたが、その陰には今日お聞きしたような悩みや苦労があったのですね。これからもZUMBA🄬はもちろん、JWIのプレゼンターとして、さらにフィットネス界全体の中で大きくなって活躍する場を広げてほしいと願っています。
中村 ありがとうございました。