コラム
2019.3.6 水曜日フードサイエンス薬膳―阪崎義勝さんに聞く
阪崎義勝(さかざき よしかつ)
JWI/AFAA指導陣、フードサイエンス薬膳講師
―「フードサイエンス薬膳」とは、どのようなプログラムですか?
阪崎 私たちの体は食べたものからできています。食べたものが心身を育み、日々の健康を保つ助け「養生」となります。薬膳はその「食」を用いた養生である「食養生」の王道です。
日々の生活で感じる冷えやむくみ、不眠や肥満、慢性疲労などと言った「未病」と呼ばれる症状も人それぞれ、世代や性別によっても異なります。そうした未病について食を通して中国伝統医学(中医学)を学んでいき、改善や未然に防ぐ知恵を育むのが薬膳です。
冷えの対策に生姜が美味しく感じる時もあれば、シナモンティーが美味しく感じ、お味噌汁が美味しく感じる時もあります。冷えと呼ばれる未病を中医学に基づいてタイプ分けし、そもそもの冷えの原因も含めて改善を促していきます。
そのため、薬膳は「人を自然界と共にある存在」と考え「自然を重んじ季節やその人の体調に合わせて作る中国伝統医学(中医学)理論に基づいた美味しい料理」なのです。美味しい料理なので日常に生かし続けることができます。
漢方生薬や、高価な食材でつくった料理だけではありません。身近な日々私たちが食べている穀物鵜や野菜、肉、魚、乳製品なども、中医学理論に基づいて作れば薬膳料理なのです。
「自然からいただく食材すべてに効能がある」と考え、古代から現代まで脈々と続き世界各地で用い生かされている薬膳の知恵を、フィットネス、ウェルネスに生かしていくのがフードサイエンス薬膳なのです。
―ワークショップはどのような構成になっているのでしょうか。
阪崎 まずは「体験クラス」をお勧めします。体験クラスでは、小冊子を用いながら、冷え性や暑がりといった体質に関する初歩的なアドバイスをフィットネス、セルフメンテナンス、パーソナルやグループ指導等への活かし方を学んでいきます。
私自身も30代は体重100kgほどの肥満でした。肥満も冷えのタイプ、暑がりのタイプ、他にもむくみや慢性疲労などあります。それぞれのタイプによって、温める食材、冷やす食材と異なります。体験クラスでは、こうした身近なテーマを用いて体質の簡単診断と食材の「温める」と「冷やす」の情報のアドバイスや活かし方を学んでいきます。
学びを運動指導、指導クラス、セルフケアなどに生かしたい場合は「運動に結びつける実践編」がお勧めです。このクラスでは「経絡」について学んでいきます。
私も交通事故で頚椎と腰椎ヘルニアになった経験があります。その時の医師と相談しあい経絡を用いたストレッチ、薬膳の知恵をあわせたセルフケアを治療に加えることで、レギュラークラスを休むことなく回復へとつなげることができました。
身体の様々な箇所と、外からの影響やストレスと繋がる経絡を学んでいくことは、フィットネス、セルフメンテナンスなどの運動指導にどの様に生かすかについて、受講生同士でサンプルクラスを組み立てながら学んでいきます。
初級講座を学ぶことによって、これらの薬膳の知恵を食を通してアドバイス、改善の提案が総合的にできるようになります。その際に大きな助けとなる「食物性味表(もしくは性味表大辞典)」と呼ばれる書籍の使い方、生かし方も学んでいきます。
―読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
阪崎 風邪のひきはじめに素早く対処したり、日々の生活の疲れを翌日に残さずに元気に指導をしていく。自分の体質に気づいて、食を通して総合的に整える力を育てることは「先生はいつも元気!」との周囲の評価につながります。
身体を動かす指導だけでなく、食を通して習慣や環境のアドバイスも総合的にできるようになり、運動指導以外の仕事への幅を広げることにもつながります。
また、フードサイエンス 薬膳講座は受講料を割引した再受講制度を設けており、薬膳の学びを継続することで深めあい、生かす知恵を高め、繋がることで「横の連携」も育てています。
受講生の中には薬膳の学びをより深め、実践力や対応力を身につけていきたいと考え、全日本薬膳食医情報協会が主催する「薬膳インストラクター講座」を受講し、その先の上級にあたる「国際薬膳師」の受験資格にチャレンジする方もいらっしゃいます。
薬膳の学びは、フィットネスだけでなく、食の専門家、料理人、カフェや食堂、地域の食育を考えている組織とも繋がっていきます。フードサイエンス 薬膳イントロダクション講座 東京講座でお世話になっている西日暮里「ごんらん」様は、そうした繋がりから一緒に仕事をさせていただいています。
代表を務めていた自由が丘ヨガスタジオは、和食の専門家・指導家である先生からの依頼を受けて共同運営しておりました。私の体験だけでなく、受講生それぞれが学びを「ウェルネス」に繋がるように生かして展開しているのが「フードサイエンス 薬膳」の特徴です。
皆様のご参加をお待ちしております。