コラム

2018.9.25 火曜日

FITNESS HULA―野口由美子さんに聞く

 

 

 

 

 

 

 

野口由美子(のぐち ゆみこ)

AFAA検定スペシャリスト、フィットネスフラマスタートレーナー。ボディデザインスタジオPunana 代表。

 

―フィットネスフラ(FITNESS HULA)とは、どのようなプログラムですか? いわゆる「フラダンス」とは、どのような違いがあるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

野口 フィットネスフラは、フラダンスのステップにフィットネスの要素を加えたエクササイズです。穏やかで優雅なフラを楽しみながら、無理なく簡単で安全に行うことができる有酸素運動です。またスタビライゼーショントレーニングの要素も加わり、体幹部強化、バランス感覚とコーディネーション能力の向上なども期待できます。最大の効果はやはり「癒し」になりますね。

ハワイの伝統文化を発祥とするフラは全国に多くのファンがいます。フィットネスフラとしてワークショップを始めた2003年当時のフラ愛好者は予測で約5000人弱だったのが、今では約200万人を超える規模になろうとしています。フラダンスは格式が高いというイメージがあり、家元制のような仕組みや慣習、独自のルールがあります。それはもちろん大事なことですが、フィットネスフラは誰でも気軽にフラを楽しむことができるように開発されました。

フィットネスフラの場合、フラの文化的な伝統を押さえながらも、プログラムは自由度がかなり高くなっています。フラを気軽に楽しみたい、踊れるようになりたいという気持ちを大切に、ダンスとしての要素と満足度そして何よりも安全に行えるということに主眼を置きました。スポーツクラブでできるフィットネスフラは、レッスン料も安くて気軽にできるから楽しいという声も多数いただいています。

 

 

 

 

 

 

パウ(フラのスカート)も自由に選べます。華やかな衣装やアクセサリーを身に付けるという別の楽しみもあり、皆さん、知らず知らずのうちにバッグや携帯のケースなど持ち物がフラらしいものになるんですよ。傍から見てフラをやっている人だなと分かるぐらいです(笑)。

 

―フィットネスフラのインストラクターになるためには、どのようにしたらよいでしょうか? またインストラクターに求められるのはどのようなことでしょうか?

野口 2日間(15時間)セミナーでフラに関する基礎知識や動きの基本、クラスの構成方法などを習得していただき、検定対策セミナーを受講後、検定に合格するとフィットネスフラインストラクターとして認定されます。初めての方にはフィットネスフラサンプルクラスや6時間のイントロダクションセミナーの受講をお勧めしています。

フィットネスフラチームのインストラクターの中には、ある流派を辞めてしまったためにフラを諦めなければならなくなった人もいます。「フィットネスフラでフラに関われる。救われたと思っています」というフラのアラカイ(アシスタント)も少なくありません。ただ、資格はあくまでもフィットネスとしてのフラを教えるインストラクターです。資格を取ったからといってフラの先生にはなれません。ここが重要です!

一方で、フィットネスフラといっても「フラ」でなくてはなりません。フラを重点にしたワークショップも提供していますので、少しでも皆さまのクラスが「フラ」と共存し切磋琢磨して、シニアをはじめとして健康な方々が増えていくことを望んでいます。

 

 

 

 

 

 

残念ながらフラの世界でも、先生の許可もなく踊れるからと勝手に指導してしまうインストラクターもいます。文化や継承、系列のあるフラの世界では最もタブーとされています。そのような方には是非!! フィットネスフラライセンスの取得をお勧めしたいですね。以前の教室のものを勝手に使わない。これがハワイの文化を守ることにもなります。「私はフィットネスフラのライセンスを取得して教えています。教室の文化の持ち出しはしていません」というアピールにもなり、ご自身のフラライフを守ることにも繋がります。

 

 

 

 

 

 

フィットネスフラのチームは全国規模、参加者数万人規模のイベントに参加します。年に数回はハワイに行って、ビーチやショッピングセンター、ホテルで踊っています。またフィットネスフラの認定インストラクターの生徒さんたちの発表の場として、メレフラパーティーを提供しています。ハワイアンバンドの生演奏もあり、パーティーは毎年華やかに盛り上がり、「一度参加するとやみつきになる」とおっしゃる方もたくさんいます(笑)。

 

―最後に、改めてフィットネスフラの魅力について、メッセージをお願いします。

 

 

 

 

 

 

野口 日本にフラが入ってきてから約30年弱。フィットネスフラを楽しんでいる人たちの年齢層は高くなっています。私の生徒さんの中には、70代でフラを始めて今92歳になる方もいます。60代、70代の人たちにこぞって「パウが着たい! (笑)」、「イベントなどでも華やかな衣装を身につけて素敵だ」と言っていただけると、テンションが上がりますよね。

もちろん女性だけではなく、男性にも力強い踊りがあるので楽しめます。みんなで協力し合い切磋琢磨して頑張れるというのもフラの人気の理由の一つではないかと思います。また、フィットネスフラは振りを覚えることをメインにしていませんので、ノートも必要ないですね(笑)。そして指導者のみなさんがレッスンで困らないように、フラチームのコリオグラファーチームが作る振りも提供していきます。

よく「フラとフィットネスフラ何が違うの?」と聞かれますが、「踊りの深さ」と言っておきましょう。最近はフラ教室のリーダー的存在であるアラカイが「スポーツクラブで指導するなら、教室のものではなくて、フィットネスフラがよいです」とライセンスを取得されています。フラは奥行きが深く、安心してどこの教室でもできるプログラムです。これからも全国で体験クラスやワークショップを展開し広がりをもたせていきたいと考えています。