コラム

2018.9.11 火曜日

Dr.カイボーの眼
第37回 身体症状症をご存知ですか?

身体症状症とは、頭痛、腰痛、背部痛、関節痛など痛みの症状、疲労や倦怠感などの全身症状、吐き気、腹痛、下痢などの消化器症状、胸痛や動悸などの循環器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、めまい、しびれ、ほてりなどの神経症状など、様々な身体症状が長期に(典型的には6カ月以上)持続する疾患です。成人での有病率は約5~7%と推定され、男性に比べて女性の有病率が高い傾向にあります。

 

私はこの疾患が思考、感情、行動に関連があるというところに注目しています。なぜなら、これはマインドフルネス瞑想(JWIではマインドウェルネス瞑想として提供しています)とそれに伴う認知行動療法などで効果が目指せるところだからです。9月のマインドウェルネス瞑想のワークショップ(アドバンス)では認知行動療法のところまでをご説明します。

 

身体症状症の詳細な診断基準についてはアメリカ精神医学会の診断と統計マニュアルDSM-5(2014年)がありますが、割愛します。概ね、これまで述べたようなことが症状の特徴です。治療は抗うつ薬などが挙げられていますが、薬は対症的に使われるもので、本質的な治療は非薬物療法であろうと思います。

 

DSM-5に挙げられるのもマインドフルネスや認知行動療法、精神分析療法などの心理療法です。ボディスキャンやヨガニドラなどのリラグゼーションも良いと思います。また、ヨガも不安や緊張や疲労の軽減を得られますので、有効な場合もあるでしょう。

 

私が地元で行っている瞑想の教室に線維筋痛症(全身の骨格筋に激しい痛みやこわばりを生じる疾患)と診断され、全身の痛みに苦しんでいる方がいらっしゃいますが、教室を通して学んだ瞑想法を自宅で行うことで症状が軽くなったとおっしゃっています。

 

身体症状症とまではいかなくても、慢性的に身体的あるいは精神的疲労を抱えている人は多いでしょう。そのような方にはマインドフルネスな生活、そのためのマインドウェルネス瞑想をお勧めします。もちろん、身体症状がある場合は必要に応じて診察を受けて、原因が特定できる疾患であればちゃんと治療をされることが大切であることは言うまでもありません。