コラム

2017.10.19 木曜日

「資格」からみたフィットネス指導者の位置
(2)資格とは何か?

そもそも、「資格」とはどのようなものなのでしょうか?

「資格」というのは、ある特定の機関や組織がその人に「これこれの技能や知識がある」ことを認めた能力認定の結果です。

たとえば、意外に思われるかもしれませんが、「○○大学卒業(学士)」というのも資格の一つです。卒業後に母校と一切の関わりをもたなくても、たとえば就職や転職のさいの履歴書では「○○大学卒」と記載し、また一生にわたってその学歴を名乗ることができます。

逆に、「○○大学卒業(学士)」という資格がないのにもかかわらず「○○大学卒」と名乗ることは、学歴詐称として社会的な制裁を受け、場合によっては法律によって罰せられることになります。

英語検定や漢字検定もこれと同様で、合格証書は一生有効です。取得しても拘束力はもっとも小さいか、全くないレベルの資格といえます。

 

また、「資格」というと、医師や歯科医師、弁護士や税理士などの、一般的には国家資格と呼ばれる資格が浮かぶ人もいるかもしれません。その資格の名称使用や業務に関して、資格をもたない人びとと区別され、別の法令によって管理・拘束されます。

たとえば、「医師」は厚生労働大臣から交付された免許によって業務に従事することが許されますが、国が定めた医師法をはじめとする医療関連法を遵守することが求められています。法令に違反した場合には免許停止や取消などの懲戒処分を受けることもあります。

 

それでは、フィットネス指導者に関する資格はどのような性格のものなのでしょうか。

それは、民間組織が独自の教育プログラムをもち、能力検定を行って認証・登録をしている資格である、といえます。

たとえば、健康運動指導士は、(公財)健康体力づくり事業財団という組織が講習ならびに資格認定を行っていますが、「健康運動指導士」と名乗るためには財団に登録する必要があります。そして、5年ごとの更新登録のために所定の講習を受けることが求められています。

つまり、医師や弁護士のように一般の法令に拘束されることはありませんが、たとえば登録や講習の受講など、各々の資格認証組織が定めた規則に従う必要があります。言いかえれば、フィットネス指導者としての何らかの資格を得て仕事をするということは、当然のことながら、その資格を付与した組織の管理下におかれることを意味します。

誤解を生まないようにお断りしておきますが、私は、そのような管理が問題であるといっているのではありません。社会的に通用する能力が認定される以上、その認証機関が各々の資格者の質の保証をしているわけであり、そこに登録される資格者が特別の規律にしたがうべきなのは当然のことです。そうでなければ社会的評価を保持することはできません。

 

自分が取得している資格、取得しようとしている資格には、以上のような仕組みがあることを知っていただきたいと思います。