コラム

2017.9.7 木曜日

インストラクター・トレーナーを取り巻く世界
(2)クライアントの戦略

フィットネスクラブを訪れるクライアントは、誰もが「筋肉を強くしたいから」「体脂肪を減らしたいから」という戦略をもっているわけではありません。また、「お金がないからフィットネスクラブをやめる」というクライアントはほとんどいません。フィットネスのサービスという商品を消費するクライアントは、おそらくは金銭的にも余裕のある人たちでしょう。

1日24時間、1年365日の自分の生活時間のうち、限られた余暇の時間を何に費やすのか。自分にとって最適な余暇時間の消費の仕方を追求するのが、クライアントのフィットネス戦略であるといえます。

戦略を決めるのはもちろん、クライアントです。言い換えると、クライアントは、時間や金銭の費やし方として、フィットネスのサービスを受けることが自分に利益をもたらすと感じられないときには、その商品を「消費しない」という戦略を立てることができます。

多くの場合、クライアント自身はこのことを自覚していません。ただなんとなく、フィットネスのプログラムが自分に合っていないと感じ、フィットネスの世界から遠ざかっていくことも多いのです。

つまり、「このクラブに来てもつまらないし、きついし、つらいだけ」と感じるクライアントは、そのクラブから離れていくことでしょう。「このクラブに来てこの人たちと一緒に運動しながら時間を過ごすことが楽しい」と感じることがなければ、フィットネスクラブが提供するサービス商品を購入し消費する、という戦略はとらないでしょう。運動することそれ自体は、クライアント自身にとっての愉しさや満足感をもたらすための「方法」にすぎません。

前回、サッカチームの「戦わない」という戦略を紹介しました。フィットネスのクライアントがこのような「戦わない戦略」を取るとしたら、インストラクターやトレーナーには、どのような戦略が残されているのでしょうか?