コラム

2018.6.14 木曜日

“ヘルスプロモーション”への挑戦 Ⅰ ウォーキング編
3 意外な結果

今回の研究の目的は、「運動を自由に行わせたグループ」と「運動内容を統制したグループ」とで、運動効果に違いがみられるのではないか(自由に運動を行わせる方が効果が上がるのではないか)という仮説を検証することであった。

だから、7回の「ウォーキング教室」に参加する、という決められた枠組みの運動を与えられたグループ(A)と、教室には参加せずに自由にウォーキングをやってもらうグループ(B)とで、一日の歩行歩数に違いが見られるのではないか、自由に運動するBグループの方が歩数が多くなるのではないか、と考えていた。

 

ところが、予想は外れた……。

Aグループ、Bグループそれぞれのプログラム前の1日の歩数は、AグループもBグループも9千歩弱であったのだが、講習会の直後から両グループともに増加し、8週間のプログラム期間中にはそのレベルを維持していた。

どちらの方が伸びが大きかったのか? 「ウォーキング教室」に参加せずに自由に歩いたBグループでは1,500歩程度の増加であったのに、「教室」に参加したAグループではその倍、3000歩近くも増加したのだった。

Aグループの人々は、ウォーキング教室のない日もせっせとウォーキングに励んでいたようだった。教室がある日以外の活動は普段とあまり変わらないのではないかと想定していたのだが。

毎回の教室では私たちも全力を注入して参加者のために尽した。参加者と言葉を交わすと、誰もが楽しそうで、笑顔が溢れていた。「ウォーキング日記」の書き方などについて尋ねられたこともあったし、指導の質の点ではBグループに比べてはるかにきめ細かったと思えた。それが最初の過程から見ると「逆効果」だったのか? でもあれっ、それって良いことじゃない?

 

「ちょっと、やりすぎちゃったかも…」と、反省とも充足ともいえない思いを残して、最初の研究プロジェトが終了した。

 

※画像はイメージです。